ヤマハ発動機グループのIT中核企業としてビジネスプロセス全般とITインフラをグローバル体制で支えるヤマハモーターソリューション株式会社では、フリーランスエンジニアの採用において「Findy Freelance」を活用いただいています。今回は、ヤマハモーターソリューション株式会社の松井さんにインタビューを行いました。フリーランスエンジニアを活用した人と技術のモダナイズに取り組む背景に迫ります。
■プロフィール
松井幸一 / ヤマハモーターソリューション株式会社 イノベーティブテクノロジーセンター 事業部長
2016年にヤマハモーターソリューションへ入社。技術開発部長を経て、2024年より現職。現在は、ヤマハ発動機グループのDX(Y-DX)推進を加速させるため、開発者体験の変革を目指すテクニカルプラットフォームの提供と、それを活用したアプリケーションの集中開発体制の構築に取り組んでいる。
社員やパートナーに加えてフリーランスを選んだ理由
まず、御社が抱えていた課題についてお聞かせいただけますでしょうか。
松井さん: 私達はヤマハ発動機グループのビジネスを支える数多くのアプリケーションの開発・運用保守を担っています。これまで35年以上に渡り、輸送機メーカーであるヤマハ発動機グループのIT企業として安心・安全を第一にサービスを提供してきましたが、昨今これに加えてビジネスニーズの多様化やスピード感に対して十分な納得感を持って対応し続けることが求められています。
これを実現するためには世の中の最新の技術やプロセスを私達のビジネスに取り込み、活用していくことで開発生産性を高め、現場で働く社員のリソースをもっと新たな価値を生む方向に振り向けられるようにする必要があります。
一方で現実を見ると、過去から使い続けている技術やプロセスから脱却したくても、個々の現場レベルではその知識やスキルが足りておらず、変革の一歩を踏み出せないというジレンマがありました。
そうした課題を解決するために、今回はフリーランスエンジニアの活用という選択肢を取られました。社員の方々や協力会社の方々もいらっしゃる中で、なぜフリーランスを選ばれたのでしょうか?
松井さん: 大きな要因として、「エンジニアの採用が難しい」という点がありました。
弊社の拠点は静岡県にあり、製造業という特性上工場や現場との連携も多く、どうしても対面でのコミュニケーションが要求される場面があります。そのため正社員のキャリア採用の場合は、「基本的に通勤圏内に在住の方」に限られてしまいます。
さらに、パートナー企業さんにもお手伝いいただいているのですが、技術やプロセスの変革を推進していくためにはその原動力となるような技術的に尖ったエンジニアの方に参画いただく必要があり、パートナー企業さんの中でもそういった方は限られた存在のため、ニーズに沿った人材確保が難しい状況でした。
一方で、これまで「社員」と「協力会社」という二本柱で業務を進められてきたなかで、「フリーランスエンジニア」(以下フリーランス)という新しい存在を迎え入れるにあたって、社内で反発はなかったのでしょうか?
松井さん:おっしゃるとおり、何の説明もなく「今日からフリーランスを入れます」となると、「なぜ社員やパートナーさんじゃなく、フリーランスなの?」という疑問が生じてしまいます。
「まずは社員に最大限活躍してもらい、その上でパートナーさんとも戦略的に協業していく」という共通認識が社内であるなかでフリーランスを導入するわけですので、どういう位置づけで、どうやって付き合っていくのか、という「棲み分け」を明確にすることを重要なポイントとして明確にしました。
具体的には、社員やパートナーでの対応が難しい、専門的な技術に特化した領域においてフリーランスを活用するという方針を明確に打ち出しました。
Findy Freelanceだからこそできた採用支援
フリーランス活用という方針を立てられたうえで、いくつかの媒体を比較検討されたかと思います。その中で、Findy Freelanceを導入された決め手は何だったのでしょうか?
松井さん: いくつかのサービスを比較検討したなかで、やはり「エンジニアのスキルレベルが、求めるレベルに達しているかがわからない」という点が、一番の懸念材料でした。
私自身、普段からオープンソースのコミュニティ活動や技術系のカンファレンス、勉強会などに顔を出していますが、そういった場所に積極的に参加している方は、スキルも意識的も、非常に高い傾向にあります。
こうした、いわゆる「ハイスキルかつ熱意を持った方」をきちんと探せるかどうかが、サービスの選定において重要視しているポイントでした。
その中でFindy Freelanceは私が参加するコミュニティやカンファレンスでよく耳にしており、オープンソースでの活動に積極的な方々が登録されている印象がありました。「これなら弊社の希望にマッチしたエンジニアを探せるかもしれない」と思い、Findy Freelanceを選びました。
ありがとうございます。その他に、Findy Freelanceを選定いただいたポイントはございますか?
松井さん: 優秀なフリーランスエンジニアはすでに本業や他の副業を持っていることが殆どですし、コミュニティ活動やカンファレンスへの参加・貢献頻度の高い方は首都圏に集中している傾向がありますので、週5日出勤・対面を前提にしてしまうと、彼らを集めることは現実的には不可能になってしまいます。
その点、Findy Freelanceでは稼働時間や勤務形態のパラメーターを柔軟に設定できるので、そこも決め手の一つでした。
Findy Freelanceを実際に導入されてから、候補者からの提案を受けたり、弊社の担当とやり取りされるなかで、サービスに対してどのような印象を持たれましたか?
松井さん: 担当の寺門さんには、最初から非常によくしていただいていると感じています。弊社の状況や求めていることを深く理解しようと考えて、それに沿って動いていただけている点が非常にありがたいです。
他の媒体やエージェントだと、単に「紹介して終わり」というスタンスのところもあるなかで、Findyさんは私たちの要望を丁寧に受け止めてくださっていると感じていますね。
実際に候補者の方々とお会いされてみて、スキルのマッチング度合いはいかがでしたか?
松井さん: 面談を設定していただいたエンジニアの方々は、かなりの高確率で弊社の求めるスキルや人物像に合致していると感じています。結果として、期待していた通りの、あるいはそれ以上のスキルをお持ちの方が多かったですね。
なかには、私たちのニーズと少し方向性が違うかなという方もいらっしゃいます。
その際は担当の寺門さんにも率直にお伝えしたのですが、きちんと対応していただきました。場合によっては「御社には向かないと思います」と、担当の寺門さんご自身がはっきりと意見を伝えてくださることもありました。そういった点も非常にありがたいと感じています。
人と技術のモダナイズを実現
実際にフリーランスの方々が参画されてから、御社にはどのような変化がありましたか?
松井さん: 参画していただいた皆さんには、非常にご活躍いただいています。一番最初に入っていただいた方は、アプリケーションのセキュリティにおいて、本当に欠かせない存在になっています。
また、弊社社員やパートナーの方々は、基本的に穏やかな方が多く、そこが良い面でもあるのですが新しいチャレンジをより促進したいと言う思いもありました。そうした環境に、外部フリーランスのエンジニアという新しい「風」が入ってくるだけでも、組織の雰囲気がかなり変わるんですよね。
あとは、社員のスキルアップにも役立っていると思います。例えば、現在AWS周りで何名かの方に入っていただいていますが、元々弊社はクラウド全般、特にAWSに関する知識はまだまだ発展途上でした。一方で、社内では「AWS前提でクラウドファーストでやっていこう」という流れが明確にあり、さまざまなプロジェクトで環境構築やアーキテクチャ設計を進めていかなければならない状況だったんです。
そうしたなかで、フリーランスの方々が実際のプロジェクトに入り込んで、現場で直接アドバイスをしながら進めてくださっているので、確実に社員のスキルアップにつながっています。
人員補充だけでなく、組織全体のスキルの底上げや、より本質的な課題解決のためにフリーランスを活用されているのですね。
松井さん:おっしゃる通りです。フリーランスの方々にただ手を動かしてもらうだけでなく、彼らが持つ専門知識や技術、社外の「空気」を組織に取り込むことで、組織全体にも良い影響が出ていると感じています。
また、今回参画いただいているセキュリティのような領域は、短期的な対応では難しく、じっくり腰を据えて取り組む必要があります。最初に入っていただいた方はもうすぐ参画から3年になるのですが、週5日ではなく、週1~3日といった柔軟な稼働条件を受け入れたことが、優秀な方に長く関わっていただける要因の一つになっているとも思います。
ありがとうございます。最後に、今後の展望についてお聞かせください。
松井さん: まだまだ社内で不足している技術領域や役割はたくさんありますので、そうした部分に対してスキルの高い方々に入っていただく形で、今の活動をもう少し大きくしていきたいです。
フリーランスエンジニアに伴走支援という形で加わっていただくことで、社内のエンジニアが着実に力をつけていく。そういった好循環を、これからも生み出していきたいですね。