自社で開発した口語マルチターン大規模言語モデル「ItakoLLM」を活用した事業を展開するSpiralAI株式会社では、エンジニア採用において「Findy Freelance」を活用いただいています。今回は、SpiralAIの代表取締役・佐々木さんと、CS担当者の寺門さんにインタビュー。シード期において即戦力エンジニア9名の採用に成功した背景に迫ります。
■SpiralAI株式会社とは
「人類の技術進歩を加速させる」をミッションに、独自に開発した口語マルチターン大規模言語モデル「ItakoLLM」を活用し、エンターテインメント領域でAIキャラクター事業を展開。2024年現在は、チャットもしくは音声でテンポの良い会話を楽しめるオリジナルキャラクターの「ククリさま」や芸能人やインフルエンサーをモデルにしたAIコミュニケーションサービスに加えて、AIキャラクター作成ツール「TwinRoom」も提供している。
■登場人物
・佐々木 雄一さん|SpiralAI株式会社 Ph.D / CEO|@SpiralAI (MoMy)
ビッグデータ分析と機械学習が専門。スイスCERN研究所にて、ブラックホール研究などを主導。 技術を広めて世界を大きく変えたいという思いから、経営を学ぶ必要を感じマッキンゼー&カンパニーに入社。 その後、ニューラルポケット社の初期メンバー・CTOとして、AI開発と社会実装を主導。社員数も、創業から4年で250名規模へ拡大。2023年よりSpiralAI社を立ち上げ、CEOに就任。
・寺門 美穂|Findy Freelance事業部 カスタマーサクセス
スタートアップ企業の社長秘書を経験の後、初期フェーズの2018年よりFindyで働きはじめ、2019年5月に正式ジョイン。Findy FreelanceのCSとして、シード〜シリーズBのスタートアップ企業や大手企業を担当。エンジニア組織の課題に対する提案や企業にマッチしたエンジニアの紹介を精度高く行うことを得意としている。
登記したその日から「二人三脚」で。シード期だからこそ、Findy Freelanceの活用を
会社を立ち上げた日から、Findy Freelanceをご利用いただいていますね。当時の課題についてお話いただけますか。
佐々木:当社の場合は、事業を前に進めるためにはエンジニア組織を内製することが必要不可欠でした。そんな中、立ち上げ当初は、前職の頃から手伝ってくださっていたエンジニアにお願いして開発を進めていたのですが、やはり人手が不足していました。
しかし、創業したばかりで実績のない怪しい会社に正社員として入社してくれる人はいません。とはいえ、開発が進まなければ何も始まらない。
そこで、寺門さんから「まずはエンジニアに業務委託から参加していただいて、様子を見て正社員化の相談をするのが良いのでは」と提案いただき、最初は業務委託での採用からスタートすることにしたんです。
寺門:シード期だからこそスキル感やカルチャーのマッチは重要ですし、企業にとっても、候補者の方にとっても、実際に一緒に働いてみないとわからないことはたくさんありますからね。SpiralAI社の場合、登記されたその日に最初の打ち合わせをして「二人三脚でどんどん進めていきましょう!」とお話しした記憶があります。
実際に、打ち合わせの二日後には最初の面談が決定するなど、ペースはとても早かったですよね。あのようなスピード感で進められたのは、佐々木さんや採用担当者の方の判断力があったからこそ、できたことだと思います。
当時はどのような判断軸で採用を進められていたのですか?
佐々木:二つの基準を設けていて、一つ目は「成長意欲が高い人」ですね。貪欲に新しい技術を学ぶ人が良いなと思っていて、フリーランスの方は総じて成長意欲が高い印象があります。
二つ目は「新しいテクノロジーを積極的に使用している人」です。エンジニア全員が最新のテクノロジーに関心を持っているわけではなく、生成AIに否定的な人もいます。一方で、生成AIを活用して生産性を向上しようと考えるエンジニアもいます。私たちとしては、後者の方がカルチャーフィットすると考えています。
採用成功の背景にあるのは、CSのサポートとユニークなユーザー層
Findy Freelance以外のエージェントサービスも利用されていたのですか?
佐々木:二社ほど利用していましたが、結果としてはFindy Freelanceからの採用が一番多かったですね。
シード期で即戦力エンジニアを9名も採用できた理由はなんだと思われますか?
佐々木:寺門さんが“話し相手として最適”だったのは大きいかなと。例えばエージェント経由で紹介された方の不採用が決まった時、担当の方にフィードバックをする必要がありますよね。その際に、エージェント側に不採用の理由を正確に伝えるのが難しくて、言葉を選んでしまいがちなんです。ただ、そうなると、いつまでもマッチングの精度が上がらないままになってしまいます。
しかし、寺門さんは話しやすい雰囲気を作ってくださっていましたし、素直になんでも伝えられました。それによって、マッチングの精度もどんどん上がっていったのだと思います。
寺門:打ち合わせの場では忖度なくお話いただけて、私としてもうれしかったです。また、初期の頃は面談にも同席させていただいていたので、回数を重ねる度に私のなかで「佐々木さんが求めているエンジニアの解像度」が上がっていたというのもあると思います。
採用成功の背景として、Findy Freelanceで良かった点は他に何かありますか?
佐々木:そうですね。もう一つ追加するとしたら、Findy Freelanceには生成AIへのこだわりを強く持っているエンジニアの方が多く登録されているというのも大きいです。Findy Freelanceのユニークなユーザー層とSpiralAIの事業がうまくマッチしているなと感じていて、その最たる例がKさんですね。彼はまさに弊社が求めているエンジニアそのもので、実際に約3ヶ月後に正社員化し、現在も社員として働いてくれています。
Kさんだけでなく、Findy Freelance経由でご紹介いただいた方々は、全員が生成AIに関するこだわりが強く、弊社の求めているエンジニアにマッチしているなと感じています。
Kさんはもともと正社員希望ではなかったとお伺いしていますが、現在は正社員として活躍されていますよね。
佐々木:そうなんです。最初は業務委託でご協力いただいて、しばらくしてから私からオファーをして、一人目の正社員として入社してもらいました。業務委託としてご協力いただいていた時から、ランチに一緒に行き、生成AIについて議論したりしましたね。そういったコミュニケーションも大事にしながらアトラクトしていきました。
寺門:当時佐々木さんからKさんに送られたオファーレターを拝見したんですが、あのオファーレターは今でも心に残っています。まさにラブレターのようで、あのレターを見た時に「これを受け取って断る人はいないでしょ」と、思いました(笑)。そうやって一人ひとりと真摯に向き合う佐々木さんの人柄も、正社員化が成功した理由の一つだと思います。
(フリーランスから正社員となったKさんたち)
自然なコミュニケーションができるAIの開発を目指す技術者集団であり続けたい
可能な範囲で、今後の展望についてお話いただけますか。
佐々木:自然なコミュニケーション(対話)ができるAIの開発を目指しています。現在はQ&Aのようなシングルターンに特化した生成AIが主流です。しかし、私たちが目指しているのは、AI側からユーザーに問いかけたり、ツッコミたくなるような発言をしたりと、マルチターンに特化した言語モデルです。
「ItakoLLM」はマルチターン会話を行うことが可能で、オリジナルキャラクターの「ククリさま」と会話したユーザーからは「会話を終わらせようとしたときに、引き止めてくれる言語モデルは初めて見た」という感想をいただいたことがあります。
今後は会話の精度をより向上し、国民的アニメのネコ型ロボットのように、自然な雑談ができる生成AIを生み出していきたいですね。
──佐々木さん、寺門さん、ありがとうございました!